Forefront of Theological Studies
『スコットランド信仰告白による信仰入門 - 歴史・本文・講解』
原田浩司
『スコットランド信仰告白による信仰入門 - 歴史・本文・講解』(一麦出版社、2021年、税込み1760円)のご紹介
2022年は、スコットランドの宗教改革者ジョン・ノックス(John Knox)が1572年に死去してから丁度450年を数える記念碑的な年です。しかしながら、日本でこのことが意識される気配はほとんど見られません。スコットランド宗教改革を研究する端くれとして、この機会を念頭に、改革者ノックスとは何者であったのか、またどのようなプロテスタント信仰を大陸からスコットランドに持ち込んだのかを整理すべく、昨年『スコットランド信仰告白による信仰入門~歴史・本文・講解』を一麦出版社から刊行しました。ノックス没後450周年を記念し、筆者自身が本書を簡単に紹介します。
第1章は、スコットランドで宗教改革が起きる背景となった、イングランドとフランス両国との国際関係に注目しながら、当時のスコットランドが置かれていた政治的な状況を簡潔に整理しました。それと共に、当時のスコットランド国内の宗教事情も合わせて整理しています。俯瞰的視点から当時のスコットランドについて学びます。第2章では、スコットランド信仰告白の執筆者の一人であるノックスに焦点を当て、1560年に宗教改革を達成するまでの半生を整理しました。また、ノックスを含め「六名のジョン」と呼ばれる信仰告白の共同執筆者たちについても簡潔に整理しました。スコットランド信仰告白をめぐる歴史的な背景や執筆者について学んだうえで、第3章では、全二十五条から成る信仰告白を、一条ずつ、本文を記載し、その要点を明らかにしながら簡潔に解説していきます。そして最後に、信仰告白全体の構造から見えてくる特徴について整理します。
本書は、ただ450年も前の昔を懐古するために記されたものではありません。本書の帯に記されているとおり「宗教改革の精神を次世代に繋ぐため」のものです。「長老教会の祖国」であるスコットランドのプロテスタンティズムの信仰と神学の原点であり出発点である「スコットランド信仰告白」を、その歴史と本文を現代日本の文脈に重ねながら学び進めることは意義のあることだと思います。そして、没後450周年を迎えたこの機会に、改革者ノックスのことを改めて知っていただければと思います。
※この文章は全国連合長老会が刊行する月刊「宣教」の2021年8月号に記載した文章を加筆・削除し、修正したものである。